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2014.0.1.31 神戸市の教訓に学ぶ、防災と福祉の連携策

2018-04-14

神戸市の教訓に学ぶ、
防災と福祉の連携策

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

昨年12月7日に開催された、北仙台中学校区健全育成連絡協議会「講演会」では、仙台市教育委員会主任指導主事の田原和裕氏をお迎えして、「神戸発、『防災教育とトライやる』」と題した講演を頂きました。
田原氏は、神戸市の小学校の教頭先生を務め、現在は任期1年間の人事交流で、仙台市教育委員会に勤務されています。田原氏は大阪弁を交えながら、生徒達に話かけるような落ち着いた語り口で、時折被災地を励ましながら神戸の様子を紹介し、あたたかさを感じる講演となりました。
この講演のテーマである阪神淡路大震災は、平成7年1月17日早朝に発生した震度7の地震災害で、6,434名もの尊い命が奪われました。この災害は、人口350万人が密集する神戸市と阪神地区の直下で比較的浅い断層が横にずれ、大きなエネルギーが一挙に解放されて巨大地震となりました。このため都市部で多くの建物が倒壊し、古い木造住宅が密集した地区では大火災が多発しました。犠牲者の約8割が倒壊と火災によるもので、今日の我が国の防災の取り組みは、この震災の教訓が大きく活かされています。
この震災の教訓を活かした神戸市の先進的取り組みとして、「防災福祉コミュニティ」が挙げられます。この内容は、神戸市全ての小学校区で、町内会、老人クラブ、民生児童委員、青少協、PTA、消防団、地域の事業所などが加盟し、地域の防災活動と福祉活動を連携させて、災害時はもとより日常における地域福祉の共助の活動に取り組む点です。
もう一つの事例は、「防コミスクールガイド」です。小中学校や関係機関に配布されたこのガイドブックには、震災を教訓に41の防災教育メニューが掲載され、解説集、ワークシート、防災Q&Aなどが収録されています。防災教育の授業はもちろん、地域の防災福祉コミュニティで実施できるよう、様々な工夫が施されています。
では、現在の仙台市はどのように震災の教訓が活かされているでしょうか。
ひとつには地域防災計画の改定で、指定避難所単位で地域住民の主体的な「地域版避難所運営マニュアル」を作成する取り組みがはじまりました。
そしてもうひとつ、画期的な取り組み注目されています。これは、荒巻地区の町内会連合会をはじめとする「荒巻安心タウン構築委員会」が昨年12月25日に発行した『安心タウン、荒巻 安心・安全タウンマップ』です。体裁はA4版16ページのカラー冊子で、右から開くと、「防災編」。地元の防災マップと、災害時の地元の情報がまとめられています。左から開くと、「高齢者見守り編」。病院や福祉施設、そして認知症に優しい地元のお店が載った福祉マップと、老人クラブや様々な高齢者支援の地域資源がまとめられています。
荒巻地区の「福祉」活動と「防災」活動の連携。神戸市と同様に、2つの協力による新たな取り組みが大いに期待されています。

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2014.0.1.10 「養之如春」に学ぶ

2018-04-14

「養之如春」に学ぶ

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

先頃、市内の中学生を対象に、スマートフォンに関する市教委と東北大学の川島隆太教授の共同調査が実施されました。スマホを長時間使う中学生ほど成績が低下し、脳の働きが混乱し、集中力が下がる結果が明らかになりました。
携帯電話やパソコンなど、最新鋭の情報端末は、日常生活を便利で快適に進化させ、様々な要求に応えてくる頼れる存在となりました。今や子ども達のスマホの弊害すら指摘される状況なのです。
しかしこれらの技術革新の進歩は、真に得たいと願う問いに答えてくれるものでしょうか。スマホの新型に湧く若者達に、心豊かな人生や、希望の意義について、ヒントを与えてくれるでしょうか。
昨年、就職活動を控えた東京の学生達に招かれ交流の機会がありました。学生達は私の経歴から、就職や転職の動機など経験を聞かせてほしいと言うのです。
学生の表情は皆真剣そのもの、次々と質問が出ます。彼らは人生の岐路に立ち、働く意義、人生の目的について懸命に答えを探している様子でした。
私の場合、大学3年の夏に旅先の親戚の家でたまたま手に取った一冊の本が18年後の人生の転機の指針となりました。その後多くの出会いやきっかけを経て現在の自分があります。正直はじめから進路が明確だったとは言えません。
聖書の言葉に「探せ、そうすれば見つかるだろう」という言葉があります。探すことが見つかる前提には、真に探そうとする真剣さ、私達の心の姿勢が試されていると思います。そして心と向き合うには、急いで、焦って答えを求めるものではないと思うのです。これから社会に出る若い彼らに、哲学的な人生の命題の答えを求めるのは酷な事です。
作家の井上靖は随筆の中で、自らの座右の銘「養之如春」を紹介しています。
この言葉は、中国の漢書に出てくるもので、〝これを養うは春のごとし〟と読み、その意味を披露しています。『何事にも春の光が万物を育てるように、気長にあせらずにやるべきで、一朝一夕の態度を取るべきではない。愛情を育み、子ども達の教育、病気を治し、仕事をするにも、春の光が万物を育てるが如くすべきである』。
慌ただしく、結果を急ぐ今の時代に、じっくりと子ども達の心を育み、あたたかく見守る、余裕を持った大人側の姿勢が求められているのかもしれません。

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2013.01.31 家族愛、郷土愛、そして利他愛

2018-04-14

家族愛、郷土愛、
そして利他愛

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

 昨年の十二月八日、北仙台中学校区健全育成連絡協議会は、阿部美奈子先生をお迎えして講演会を開催いたしました。この行事には北中の全校生徒のほか、健全育成関係諸団体の役員、そして地域の皆様約350名が参加しました。
阿部先生は、現在山形市の中学校でスクールカウンセラーとして勤務されています。一昨年三月の東日本大震災の折には予備自衛官として、留学経験で身に付けた英語力を活かして米軍専属の通訳を担当し、復旧支援活動の「トモダチ作戦」を支えるという重責を果たしました。しかしご本人はそのイメージからは程遠く、バレーボールとの出会い、選手時代、社会人チームのコーチとしての留学経験など、スポーツを通じて懸命に切り拓いて来た自らの半生を、情熱的に熱く語って頂きました。
 そしてメッセージの神髄は、様々な試練に立ち向かった経験から得た重要なことは「五つの愛」。家族愛、郷土愛、祖国愛、人類愛、そして利他愛など、現代社会には特に大切だと話されました。その若い世代に伝えようとする真摯な人柄と、信念に基づいた凛とした生き方に、私は感銘を受けました。
 その講演の約一カ月前、十一月中旬に水の森市民センターで、北仙台地域防災ネットワークによる「水の森防災学校」が開催されました。地域の町内会や様々な団体から参加者が集まり、避難所運営の訓練を行いました。
これまでの防災訓練とは異なり、より実効性を高めるため、訓練内容に震災を教訓にした工夫を随所に入れたプログラムが話題となり、NHKのニュースとして全国に向けて紹介されました。この訓練には北中から生徒会や部活を通じて三十名が参加し、地域の一員として積極的に役割を引き受けました。
 訓練の目的のひとつには、現在の我が国における高齢社会の現状に対して、災害時に地域住民の安全確保を日常から高める方策を確立することです。仙台市においても、昨年から災害時要援護者支援プランがスタートし、要援護者を地域で守る取り組みが始まっています。しかし、地震をはじめとする災害は、前触れなく襲ってきます。制度をつくっても、実際に声を掛け合う住民が活動できなければ絵に書いた餅です。共働きが多い地域や若い世代が少ない地域で、いかに住民同士が安否を確かめ合い、活動し、共助の仕組みを構築するかが重要となっております。
 水の森防災学校では、地域団体の役員をはじめ、各層の参加者から、北中生の活発な活動の姿に、信頼と期待が寄せられました。大人と同様に中学生、そして北小、荒小の次を担う子ども達が地域を守る一翼を担う事が期待されているのです。
阿部先生が説く家族愛、郷土愛、そして利他愛は、繋がりが希薄になった現代にこそ求められる姿です。北中生をはじめ次世代を担う若者達、子ども達にぜひ学んでほしいと感じました。

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2013.01.10 「バスと赤ちゃん」に学ぶこと

2018-04-14

「バスと赤ちゃん」に学ぶこと

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

仕事の関係で、幼稚園や保育所の保護者と意見交換することがよくあります。
昨今の我が国では、少子化・核家族化・共働きが増えており、子育て支援策の充実は子どもを預けたいお母さんの切実な声なのです。
仙台市における昨年4月の待機児童数は400人強、毎年春には保育所に入所できない児童数が話題になります。反対に私立幼稚園の数は90園を割り込み、少子化の影響で減少傾向が続いています。
現在の幼稚園は、預かり保育制度の拡充や、新たな補助制度により、保育時間や月謝で保育所との差はほぼ無くなっており、幼稚園は懸命に保育ニーズに応えています。しかしながら新たな子育て支援策がさらに保育需要を喚起し、追いかけっこの現状を呈しています。
先日、社会の子育て支援をテーマに、テレビの情報番組で「バスと赤ちゃん」が紹介されていました。
内容は、ある冬の寒い日に東京都内のバスで起きた実話です。
この路線バスは、病院前のバス停から多くの人が乗り込み、車内は満員の熱気と暖房で暑苦しい状態でした。やがて母親に抱かれた赤ちゃんが泣き始めました。泣き叫ぶ我が子に母親は周囲を気にして下車しようとしました。
事情を察した運転手が母親に目的地を尋ねるとまだかなり先です。すると運転手はマイクで、「皆さん!この若いお母さんは赤ちゃんが泣いてご迷惑がかかるので、ここで降りると言っています。どうぞ皆さん、少しの時間、赤ちゃんとお母さんを一緒に乗せて行って下さい」。と語りかけました。
運転手の提案に、乗客から拍手がわき上がり、やがて全員が賛同したという内容です。この話は中学生の道徳副読本にも取り上げられました。(暁教育図書)
今日の社会は、子育て支援の理想形にはまだまだ遠いのかもしれません。しかしこの話題が教えるように、私達一人ひとりが日常の些細なことで、赤ちゃんや母親を応援することはできます。行動は伴わなくても、あたたかい目で見守ることはできます。そんな関わり合いや寛容な社会への気遣いが、赤ちゃんや母親が子育てしやすい社会に変えていく可能性があるではないでしょうか。
私達一人ひとりが日々の出来事をわずかながらでも変える積み重ねこそ、現代社会の課題の処方箋になるのではと感じます。

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2012.02.25 地域の健全育成とは

2018-04-14

地域の健全育成とは

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

数年前、私が大学に勤めていた際に、仕事で訪れたある村の話です。
その村は、奄美大島の一番奥にあります。奄美空港から3時間。海岸の道からマングローブを横に見て、やがて山道が続き、尾根超えると視界が開けて、入江に広がるエメラルドの海が見渡せます。山々に囲まれた「風光明媚」な湾ではマグロが養殖され、平均気温は20.3度と一年を通して温暖です。村はハイビスカスが道端に揺れ、ガジュマルの木が茂る山々はジャングルを思わせる、南国の島の南端に位置します。 
村は、いくつもの湾の周りに仲良く並んだ古い家々の集落で構成され、台風の直撃さえ無ければとても静かな環境です。役場がある村の中心には信号が2基、雑貨屋が2軒。もちろんコンビニなどありません。北仙台中学校区の約1/5程度の規模でしょうか、人口は2,000人を割り込み、高齢化率も約4割、この村でも少子高齢化は確実に進んでいます。
中心部にある小学校と中学校は隣り合って建っています。この小学校は村の4校のうちで一番大きく、創立130年を迎えます。小学生は現在76名、中学生は38名。両親も祖父母も卒業生が圧倒的です。集落の住民の誰もが、小中学生の名前、家族や家を知っています。
朝の登校時には子ども達とすれ違う誰もが「おはよう」、帰りには「お帰り」。いじめや不登校もなく、子ども同士の喧嘩も集落のみんながそっと遠くから見守っています。そんな環境だから、運動会や学芸会は集落を上げての一大イベントになるそうです。バレーボールが盛んで、体育館では毎日夜遅くまで、保護者や地域の人、子ども達が汗を流しています。中学生は男子バレーボールで全国大会準優勝を果たしました。
そんな家族的で濃密な人間関係の村の日常を、窮屈だと感じますか?いやいやここでは、誰しもごく当然、自然の日常の暮らしなのです。
半年前、都会から母と子が引っ越して来たそうです。住民たちは、大きな決心でやってきたこの親子をあたたかく迎え、素朴に接したのでしょう、親子ともすっかり明るく元気になったと、笑って話しあっていました。
私がその小学校を見学した時、ちょうどパソコンの実習の時間でした。子ども達はみんな日に焼け、白い歯がこぼれる明るい表情が印象的です。私が仙台でPTAの会長をしていると話すと、子ども達から質問の声が上がりました。「都会(!) の学校と何が違いますか」、「北仙台はどのような地域ですか・・・」などなど。
どちらの地域が良いかという比較ではありません。でも、質問にひとつひとつ答えながら、屈託ない彼らの表情に、「どれだけ自分の地域を愛しているのか」、「どれだけ街づくりに真剣に取り組んでいるのか・・・」と問われているような気がしました。

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2012.01.10 今日を生きる私たちに必要なこと

2018-04-14

今日を生きる私たちに必要なこと

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし・・・。」
今から800年前の鎌倉時代、鴨長明が著したこの「方丈記」は、日本中世文学を代表する随筆です。鴨長明は、戦乱に明け暮れた当時の時代背景や、天災人災が多く不安な世相を「ゆく河の流れ」に例えて、仏教の「無常」にも通じる世界観を表現しています。
時は移り今日の我々の暮らしは、その当時からは想像を絶するコミュニケーション社会。進化する携帯端末、情報ネットワークのグローバル化は、私たちの暮らしをより効率的に、よりスピーディーにと日々変化をもたらし幸福を増大しています。
しかしその一方で、忙しすぎる日常の中でストレスや摩擦を感じる事も良くあります。例えば私たちが経験したあの3・11の大震災では、多くの人命が一瞬にして奪われるという悲劇の瞬間であっても、テレビやインターネットから受けとめざるを得ませんでした。知らず知らずに見る者の心を痛め傷つける、情報化社会の弊害と代償の大きさを感じた出来事でした。
ある方から「方丈記」のヒントを教えていただきました。
古来から伝わる先人の知恵によると、陸上で満たした瓶(カメ)の水は、そのままではほどなくよどみ腐ってしまうが、これを船上に移すと、瓶の水はしばらく飲むことができ、航海では良く知られていたというものです。つまり静的な水はすぐ腐るが、動的な環境下の水は新鮮さを保ち続けるというのです。このことから水そのものは、常に清らかな流れが本来の姿であり、水は常に流れを失ってはいけないのです。
鴨長明が遥か昔に看破したように、私達の日常の生活や様々な出来事も、悠久の時の流れの中にあります。日々多くの出来事や変化があり、進歩があります。嬉しいこと、悲しいことも。私たちは様々な出来事を受けとめつつも、あの河の流れのように決してそこにとどまるのではなく、流れに沿っていくことが、清らかさを失わない秘訣なのかもしれません。

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2009.01.23 予防型社会はつくれるか

2018-04-14

予防型社会はつくれるか

北仙台中学校区健全育成連絡協議会
北仙台小学校父母教師会 会長 跡部 薫

日頃より子どもたちの、健全で安全な育成を目的に活動する皆様の地域連携は、いつの時代でも大変重要な役割を担ってきました。心から敬意を表しあらためて深く感謝申し上げます。
犯罪や事故、災害はあたりまえのことながらいつ起こるか分かりません。もし私たちの日常で、〇月〇日〇時〇分に何が起こるか分かれば、それ相当の準備ができ被害を防ぐか軽減できるでしょう。しかしながら全てのことにあらかじめ備えるのも、並大抵の努力ではできません。個人の努力には限界があります。だから私たちは社会を営む過程で、地域単位で協力し、支え合いながら様々な役割を担っています。
少子高齢化が進み都市が成熟化する中で、さらなる安全で安心な地域社会をつくるにはどうしたら良いか。それは一人ひとりの日常からの「予防」に対する理解や、気づきが重要です。これからの日本の地域は、社会的課題に対する住民理解と一層の個人の気づきを求める「予防型」が求められています。

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